ようやく春です。
前々から「3月1日から春」とされていることに違和感を感じていたのですが、シアトルに来てか
ら尚更やっぱり3月は春じゃねえよという思いが強くなりつつあります。
ここ数日の日の照り方から春の目覚めを多少感じられるような気もしていたのですが「わーい今
年も春がやってきたぞー」なんて思いながら浮かれてこのブログ用の写真を撮ってみると笑っちゃ
うぐらい淋しい裸の木々が写っていました。
前言撤回します、冬は続きます。
初めて満員電車を経験しました。
と言っても、アメリカに来てから初めてというわけで勿論日本にいた頃は通学の途中に通勤ラッ
シュに巻き込まれるという形で嫌という程経験してきました。
先日の悪天候で地下鉄に一時的に人が集中し起きたと思われるのですが、あれだけ何度も経験し
慣れていたはずだった満員電車が遭遇する環境が違うというだけでものすごく新鮮な出来事のよ
うな気がしてきてあの他人と他人との間に挟まれ押し潰されそうになる感覚を味わいながら
「あ~、こんな過酷な試練を毎日乗り切っていたのか……」となんだか少しだけ過去の自分を誇
りに思ったりしてしまいました。
ちなみに満員電車に慣れていないであろう地元のご婦人がプラットホームから車内の様子を見て
大爆笑するなどの珍事も発生していました。
日本とシアトルとの繋がりを半ば無理矢理感じ取った瞬間でした。
先週末『ズッキーニと呼ばれて』という映画を観てきました。
不慮の事故で母親を失い孤児となってしまった自称「ズッキーニ」という少年が施設で出会った
似た境遇の子供達と心を通わせていく様子を描くストップモーション・アニメーションです。
ストップモーションというのは粘土や特殊な素材でできた人形を少しずつ動かしながら1枚1枚そ
の様子を撮影していきその人形たちを感情を持って動く生き物のように見せるアニメーション手
法のことです。
ストップモーションを用いたハンドメイドで温かみのあるルックスながらも大きな虚無感を抱い
ているようにも見える主人公のズッキーニやその周りの子供達を見ているだけで涙が溢れそうに
なります。
子供向けだと高を括って挑むと強烈なダメージを喰らってしまうかもしれません。
70分弱という劇場公開映画としてはかなり短い尺ながらも観ている最中に幾度となく心の琴線を
刺激され、観終わった後も深い余韻に浸れる素晴らしい作品でした。
こういう映画が発掘できるのもアートの街シアトルの美点だなと改めて強く感じています。(また
もや若干の無理矢理感)
それではまた。
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